復職時の対策

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回復期
回復期になってくると本人の職場復帰への不安や焦りが出てくることが多く、この時期にはそれらを緩和するうえでも、 復職へのマイルストーンとして、産業医面談を月に一回程のペースで定期的に行い病状の評価と復職にむけた環境調整をしていくのがよいでしょう。 リハビリ出社制度のある会社ではこの時期に試みてもよいと思われます。長期休職者の場合は、毎朝定時に会社に行くことですら一苦労ですので、 まずは朝の出社から始め、大丈夫であれば単純作業を昼まで行うというように徐々に負荷を上げていきます。 その中で、業務遂行能力の程度を予測し、復職の方法や時期について模索していきます。


復職面談
本人が復職を希望し、主治医からの復職可との診断書を持参したら、復職面談を組み、その後に会社の最終判断を復職判定委員会で行います。
というのも、主治医が主に評価しているのは日常生活においてのうつ病の回復であり、就労が可能なレベルとの間に乖離がある事があるからです。 復職面談ではまず産業医が精神症状を再評価し、職場で迷惑行為を起こさないかチェックしていきます。その後に復職判定委員会で、上司や人事の方も交えて、 どの程度環境調節や業務の負荷の調節が可能か相談していきます。発病前の100%のパフォーマンスを求めると復職が難しい例が多いものの、 会社としては実働部隊とならない従業員を抱える程の余裕が無いのも実情です。 よって、このすり合わせを行ない、その結果だされた業務を本人が行う能力があるかをチェックしていきます。 復職直後に負荷をかけすぎると再発の可能性が上がるためこのチェックは非常に大切です。可能であればはじめは残業や休日勤務を禁止し、 仕事量を通常より軽減し、内容についても複雑な対人折衝を必要とする仕事は避け、なるべく単純作業から開始するなど、 負荷は徐々に上げていく事が望ましいと考えられます。職場復帰の際はもとの部署に戻ることが原則となりますが、 休職前の職場環境に明らかな原因があった、本人の適正に合わない仕事内容であった等の場合では、部署の変更が望ましい場合もあります。 しかし、ポジションによる採用をしている企業などでは、対応が難しい場合も多く見受けられます。またこの時期の出張や転勤も避けた方がよいでしょう。 またうつ病が回復期に入っても通常は精神科外来受診を継続し内服を続ける必要があるため、通院が可能なように配慮する必要があるでしょう。
こうした配慮を求めるために、本人の同意を得た上で、会社の同僚や直属の上司など、限定した人々に本人の状況や講じる処置を必要最小限に説明することがありますが、 原則、周囲の人々には通常通りに接してもらうようにします。

復職後

復職後は再発の兆候がないかチェックし、回復に合わせて負荷量を調整していくために、定期的な産業医面談を行なっていきます。 再発の兆候としては、不眠、イライラなどの神経過敏、パフォーマンスがさらに低下する、遅刻・欠勤が増えるといった事がサインとなることが多いようです。 そのようなサインがあった場合には病状・治療状態の把握および負荷量の再調節が必要な場合があるので産業医面談につなげてください。 回復期にはそれまでの休養を中心とした保護的な生活から、現実への直面化が一気に起こるため、不安定となりやすい時期でもあります。 思わぬ自殺などの行動化を防ぐためにもこのような定期的なフォローが会社としても大切となってきます。


最後に

一度うつ病にかかった方の再発率は約50%といわれていますが、再発を繰り返すたびにより長期の休職が必要になるなど重症化し、 過去に3回の大うつ病のエピソードがあるとその再発率は90%以上とも言われるなど、その後の再発のリスクも増える事が知られています。 慎重に復職を進めることで、本人のうつ病の予後だけでなく職業生命や長い目でみた会社の被る損失を軽減する事ができると考えられます。